信州飯田天竜川鵞流峡

■鵞湖から始まる天竜川、最初の渓谷

本州の中心に位置する長野県の諏訪湖。
湖の形がガチョウの頭に似ているということから、かつては「鵞湖(がこ)」と呼ばれていました。
天竜川はこの諏訪湖を源として、中央アルプスと南アルプスに挟まれた雄大な景色の中を南へ流れます。
その清流が最初に流れ込む渓谷が「鵞流峡(がりゅうきょう)」なのです。

天竜川流域の急峻な地形により、龍の名を冠するとおり猛々しい流れとして知られていました。
「暴れ川」「暴れ天竜」と言われる所以です。
鵞流峡に入ると同時に荒波が発生し、まるで猛る青龍のように思えます。

鵞流峡の流れ

江戸中期から明治初期にかけて、天竜川は物流の要でした。
江戸城の建材は南信濃で伐採されて、怖いもの知らずの船頭たちによって遠州まで運ばれ、海路ではるばる江戸まで届けられたのです。
最も水運が盛んだった時期は、なんと3000人以上の舟乗り、筏乗りが働いていたと言います。

鉄道の発達とともに天竜水運は廃れていきました。
しかし貴重な文化財とも言える和船(伝統的な工法で手作業によって作られる)と、独特の長い櫂(かい)で舟を操る船頭の技術は現在でも観光名物として受け継がれています。

鵞流峡を下る和船と船頭