地域と共に
続けても意味が無いかもしれない
船頭たちが川辺から渓谷の崖を登りながら作業する日々が続きました。
しかし、きつい斜面での作業を数人で行っても目指したい景観にはまだまだほど遠く、切りがないと思うこともありました。
そしてある冬の日に大雪が降り、せっかく美しく整えた箇所の竹が雪の重みで折れて景色が台無しになりました。
いくら伐っても、無駄ではないか。
そんな失望感に悩んでいたころ、不思議なことが起こります。
渓谷の上から光が差した日
あるとき舟から渓谷の西側(右岸)を見ると、竹林の中から一条の光が差しています。
その光は日を追うごとに大きくなっていくようです。
船頭以外の人が渓谷の竹を伐っている?
西岸の地域(飯田市竜丘地区「長野原」区)の人に訊いて廻ると、ある人の名前が挙がりました。
熊谷留春さん。
地元の景観を取り戻そうと、渓谷の上の道路から徐々に下りつつ竹林整備をしていたのでした。
この出会いがプロジェクトの基礎となります。
熊谷さんの想いはやがて竜丘地区の人々に伝わり、船頭とタッグを組んで鵞流峡を地域の宝として守っていくことになりました。
【左から熊谷さん(現在はプロジェクト伐採リーダー、岩山さん、大野さん、曽根原代表】
ガードレール清掃
竜丘の人々に「一緒に竹林整備を」と持ちかけたところ、意外な答えが返ってきました。
渓谷沿いの道路が汚れて見えるからドライバーによるポイ捨てや不法投棄が起こるのではないか。
竹を伐る前に、汚れたガードレールをきれいにしたい。
そこで、有志を募ってガードレール清掃イベントを行いました。
みるみるうちに白くきれいになっていくガードレールを見て「面白いじゃないか!もっとガードレールを長くできないのかな!?」という声まで飛び出しました。